こんにちは!「いちじくびより」です。今回はイチジクの害虫シリーズ第〇弾(後で確認します)!今回ご紹介する「イチジクヒトリモドキ」は本当にやっかいな毛虫なんです。爆発的に大発生するこの虫は、あっという間にイチジクの葉という葉をを食いつぶし、イチジクに多大な悪影響を与えます。だからこそ、今、被害がでていなくても知識として把握しておいて欲しい害虫なんです。この記事を読むことで「イチジクヒトリモドキ」の生態や、イチジクへの影響、対策について確認できます。さっそくいってみましょう!
イチジクヒトリモドキによる被害
太い葉脈を残して葉のほとんどが食害され、葉は骨だけのようになります。
放置しておくと、どんなに大きな木であっても、8月・9月にすべての葉が食べられてしまうと思っていたほうが良いです。葉を食い尽くしたあとは実の皮を食害しはじめます。
葉が食べられることで当然、イチジクは光合成ができなくなります。生育初期段階(5月6月)での葉の食害により、果実は肥大化が抑制されます(収量、味がともに落ちる)。また、被害が進むと年間を通してほとんど光合成を行えず、樹に養分を貯蔵できないため冬の凍害リスクが高くなりますし、来年の生育も悪くなります。
イチジクヒトリモドキの生態
イチジクに被害を出すのは「イチジクヒトリモドキ」の蛾の幼虫です。イチジクのほか、イヌビワ、オオイタビの葉裏に30~60個の卵をひと塊に産み付けます。卵は淡黄色で,直径約0.9mmです。
雌成虫の寿命は約1カ月程度で、1個体は約660個の卵を産みます。幼虫の発生は5月下旬から始まり、一年間で4世代程度の世代交代を繰り返し、爆発的に増えていきます。
若齢幼虫・中齢幼虫は全体に白っぽく、頭部は黒色,側面は橙色です。葉の裏に群がっていることが多いです。大きくなると40mm程度になり、全体的に黒っぽくなり白い毛が生えます。
成虫は開張50~70mm、前翅が淡褐色の地色に橙黄色、黒色、白色の斑紋があります。昼間は葉裏に生息し、夜間に活動します。
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生息地域
農業の現場において、沖縄、四国全県、近畿全県、愛知県、兵庫県で発生が報告されています。正直なところ、全国に拡大するのは時間の問題かと思います。元々は亜熱帯性のガで、沖縄から徐々に生息域を北上させていますが、愛知県や兵庫県で生息できる以上、静岡県や関東甲信越での生息も可能でしょう。苗木の流通などを通じて侵入している可能性もありますし…。
初期症状
若齢の幼虫の場合、葉裏から表皮を残すように食害し、葉脈の間に白く膜が残るような葉となります。5月・6月中にこのような葉を見つけ、対処するのが最も重要です。
対応方法(初期段階)
8月の被害が著しくひどくなることから、第1世代のときに対応することが重要です(5月・6月)。最も効果的な農薬は「テデトール」。一匹一匹、手で捕殺します(ボケです!ごめんなさい!)。指で葉っぱをはじくと地面に落ちますが、地面に落下すると一目散にイチジクの木を目指して前進するため、複数のイチジクを栽培しているとかえって被害が拡がります。手で直接触れるのに抵抗があるようでしたら、すべて落としたあとに踏みつぶしたり、効果があるかわかりませんが、穴を掘って埋めて土の上から踏むのもいいかもしれません(^^;幼虫をつぶしても、卵が残っている可能性もあるのでしばらくの間は定期的に様子をみましょう。
被害がひどいときは農薬も検討する
念のため、農薬もご紹介しますが、家庭菜園では「テデトール」が一番かと良いかと思います。農薬を購入しても原液を2000倍とかに薄めるため、大量に余ってしまいます(^^;このサイトでは何度も注意喚起していますが、イチジクに登録のない農薬は絶対に使用しないでくださいね!農薬を使用する場合は希釈倍率や使用回数など、正しく用法を守って使用してください。農薬は残留し、発がんのリスク、ホルモンへの悪影響(うつなど)もありますので正しく使うようにしてください。
農薬の紹介(2022年6月現在の登録)
- モスピラン顆粒水溶剤(希釈倍数:2000倍)
- アディオン乳剤(希釈倍数:3000倍)
- ベニカAスプレー(原液)
- ベニカS乳剤(希釈倍数:300倍)
- ベニカベジフル乳剤(希釈倍数:450倍)
- モスピラン顆粒水溶剤(希釈倍数:2000倍)
上記の中では「ベニカAスプレー」がおすすめです。ホームセンターでよく見かける赤いスプレーの農薬です。農家さんでしたらモスピランでしょうね。こちらはカイガラムシ、カミキリムシ、アザミウマにも効果があります。
もっといえば、ピレスロイド系のアディオン乳剤はハダニ類やコナカイガラムシの天敵も殺虫してしまうので注意してくださいね。ピレスロイド系の農薬は、農薬の中では人体に影響は少ない部類の農薬なんですけどね。
魚毒性や蚕毒性のある薬剤もありますので取り扱いには注意してください。
農薬の抵抗性について
今のところ、農薬抵抗性の個体は確認されていないようです。ですが、数が多いので中途半端に農薬がかかって生き残った幼虫から抵抗性のついた個体が生まれるかもしれません。そこから農家さんの畑に移動して爆発的に増えたら…、農薬を使うときはしっかりと使わないといけなくて、農薬の使用は案外、気にしないといけないことも多く、難しいです(^^;葉裏にいることが多いため、葉面散布の農薬を使うときは、葉の表だけでなく、裏にもしっかり使います。また、抵抗性をもった個体を発生させないためにも、2回目以降は同じ系統の農薬を使わず、他の系統の農薬を使うのが本当の使い方です(これも家庭菜園では難しい!)
「テデトール」が速効性◎、確実性◎で最強ですよ(笑)。葉脈のみになっていなくても、梅雨の今のうちに葉裏を確認して、変な毛虫や蛾、卵がないか確認しましょう。以上、いちじくびよりでした。
お知らせ
コンセプトがまだ決まっていないのですが、Youtubeを今年の夏から本格的に始めていきたいと思っています。励みになりますのでそちらもぜひ応援してくださいね♪今はまったく手を付けていない7月の農業簿記1級の勉強をしないといけません(^^;応援いただけましたらすごく嬉しいです。Instagramもやっています。こちらのほうが更新頻度が高めです。フォローのほど、よろしくお願いいたします(^^♪