【いちじく】葉が黄色くなる原因と対策

今回はいちじくの葉が黄色になる原因と対処方法をご紹介します。ご家庭でいちじくを栽培していると、葉が黄色くなることはよくあるのではないでしょうか。葉が黄色くなってしまい、原因や対処の仕方がわからないで困っているかた、ぜひ最後までご覧ください♪

黄化の原因と共通の対処方法

葉に含まれる葉緑素が抜けてしまうことで葉が黄色くなります。一度黄色くなった葉が再び緑色になることはありません。葉緑素は緑色の天然色素で、光合成を行って糖などを合成します。クロロフィルとも言われています。黄色くなった葉では光合成することはできないため、取り除いて処分するのが良いでしょう。

葉緑素が抜ける12の原因

大きく2つ(生理現象と病害虫)にわけることができます。

【生理現象】

  • 水切れ

水切れで葉が黄色くなります。この場合、古い下の葉で黄化の症状がでます。植物は上部の新しい芽や葉から優先的に水と一緒に養分を送るため、水が足りなくなると、古い葉から黄色く変色し始めます。いちじくは水の要求量が多い植物と言われています。葉が大きいことから葉の裏から蒸散する水の量も多く、また、根は上根と言って地表面に細かい根を張るため、乾燥しやすい植物です。

特に鉢植え栽培の場合、梅雨があけると土が乾燥しやすくなるため注意が必要です。雨の降らない日は水やりを毎日、朝晩行ったり、3割の遮光を行ったりするなどの対策が必要です。日中に地温が熱くなりすぎないように、植木鉢を石の上やコンクリートの上に置かないことも大切です。

下の古い葉から黄化している
「水切れ」は下の古い葉が黄化する
  • 高温障害

突然、下のほうの葉から黄色く変色し、やがて全体の葉が枯れ落ちます。急に全体のが葉が落ち始めるため、「水切れ」と区別がつきます。後述の「株枯病」にも似た症状ですが、樹そのものが枯れたわけではなく、いちじくが葉から水分が蒸散することを防ぐため、自ら葉を落とすことで樹を守る生理現象です。葉が落ちた後も定期的に水やりを続けると、頂芽が展葉します。また、果実は落下せずに着色しますが、熟すことはなく実は固いままになります。

  • 日照不足

日光が足らないことにより、光合成能力が低下し、葉が黄色がかった緑となります。葉の厚さも薄く柔らかくなります。室内で育てている場合や、普段日陰になる場所で育てている場合、天候不順が続いている場合などが要因で起こります。太陽の光が十分にあたる場所へ移し、天候不順が続く場合は、対策をするのであれば微量要素を含んだ液肥を葉面散布し、光合成を促します。

海藻ベースの液肥は葉を強くし、光合成を促進する
海藻ベースの液肥は葉を強くし、光合成を促進する
  • 葉焼け(日照過剰)

最近の夏は異常なほど強い日が続くことがあります。光合成に必要な太陽の光も必要ですが、強すぎる光は植物にとっても「毒」となり、葉が部分的に黄化(もしくは茶色化)することがあります。葉温が28度を超えると葉の活動が鈍くなり、光合成の働きも鈍くなるといわれています。いちじくのハウス栽培では、ミストを導入しハウス内の温度を下げる対策をしていることもありますが、日陰を作るなど、家庭菜園では何らかの方法で遮光することが最も効果的です。

  • 肥料不足

葉や茎を形成するために必要な窒素不足、葉緑素を形成するために必要なマグネシウムが不足していることでも葉が黄色くなります。この場合、それぞれの成分を含んだ速効性のある肥料を追肥、もしくは葉面散布します。マグネシウム欠乏時は上部の葉で症状がみられ、葉脈間が黄化します。土壌中にマグネシウムが含まれている場合でも、土壌中のカルシウムが過多になっていることが原因で根からマグネシウムが吸収できないことがあります。この場合、追肥ではなく、マグネシウムを含んだ液肥を葉面散布することで対応します。液肥は「メリット」や「アミノメリット」が代表的です。

  • 水のあげすぎ

光合成や養分を運ぶのに必要な水ですが、太陽の光と同じで「過剰な水」は植物にとって「毒」となります。植物は呼吸をしており、酸素を根から取り込んでいます。水を上げすぎてしまうことで土中が常に水を含んでいることになり、土中の空気量(酸素量)が減って、根が呼吸ができずに死んでしまいます。これを「根腐れ」といいます。常に土が水で濡れていているような場合、水やりの頻度や水の量の見直しを行います。

  • 気温が低くなってきた

秋も深まり、気温の低い日が続くと葉は黄色く変色し、すべての葉が落葉後、休眠期へと入ります(おおよその目安が「最高気温15度以下の日が14日間」だったと思うのですが、すみません、忘れてしまいました)。これはいちじくにとってごく自然なことであるため、問題はありません。

黒く焦げたような症状がでたのち、黄化した(そうか病?)
黄化し、落ちた葉。

【病害虫】

  • 株枯病

菌による病気で、全体の葉が急に黄色く変色し、その後落葉します。そして、やがて樹は枯死します。病原菌は土壌中で生息しており、土壌、挿し木、アイノキクイムシで伝染します。発病した樹は直ちに伐根し、落葉を含め園外で焼却するとともに、土壌は農薬にて消毒をします。また、健全な樹も株元に薬剤を施します。株枯病の根本的な解決方法はなく、株枯病がでた農家さんは廃園せざるおえなくなるほど恐い病気です。急に全体の葉が枯れ始めた場合で株枯病の懸念がある場合、詳細については愛知県が公表している「いちじく病害図鑑」などを参照して確認してください。

  • その他の病気

さび病など、何かしらの病気が進行し葉が黄色くなり、やがて枯れ落ちることがあります。木が病気から自身を守るため、菌に感染した葉を落とすためです。上記の【生理障害】に当てはまらない場合は病気による黄化も疑い、対処してください。各病気の特徴は愛知県が公表している「いちじく病害図鑑」や島根県のホームページなどからも確認ができます。このブログでも紹介している記事がありますのでそちらをご確認ください。農薬(治療薬)を使用し、防除します。

さび病が進行し、葉が黄色く変色しはじめている
さび病が進行し、葉が黄色く変色しはじめている
  • ハダニ

ハダニによる食害でも葉が黄化します。この場合、食害のあった個所が黄色く変色し、点々と斑の病斑のようなものがでるときもあります。葉の裏をよく観察するとハダニが確認できます。風通しを良くし、薬剤散布により防除を行います。

  • コガネムシ(幼虫)

一見するとカブトムシの幼虫みたいな芋虫です。植物の根を食べるため、鉢の中に一匹いるだけで、植物は枯れてしまう可能性があります。根は水分や養分を吸収する重要な基幹です。植替え時に根が傷ついても葉が黄色くなる原因になります。鉢の中に二匹いればほぼ枯れてしまうと思われます。コガネムシが鉢の中にいると極端に生育が悪くなるため、「あれ、何か変だな?」と思ったら、思い切って鉢の中を確認してみるのも良いかと思います。

コガネムシ幼虫
コガネムシ幼虫。鉢の中にいると木が枯れてしまうことも。
コガネムシの幼虫による被害
コガネムシの幼虫に細根はすべて食べられている。写真は3年目のビオレ・ソリエス。鉢は40Lサイズ。

 【その他のトラブル】

  • 植替え

植替え時に根が傷ついても葉が黄色くなる原因になります。植え替えは、根が寝ている休眠期(12月~3月中旬)に行います。4月以降に行う場合は、根が傷つかないように丁寧に行いましょう。

以上です。今回は葉が黄色くなる代表的な原因を12個、まとめてみました!記事が参考になりましたら嬉しいです♪素敵ないちじくライフをお過ごしください♪

 

☆2022年5月追記☆

You tubeを始めました!ブログよりもさらに更新頻度は少なめですが、応援いただけますと嬉しいです♪よろしくお願いいたします。

黒く焦げたような症状がでたのち、黄化した(そうか病?)
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