【いちじく】挿し木以外にも増やせます!「緑枝挿し」に挑戦してみよう!

今回はいちじくの「緑枝挿し」の方法についてお伝えします。この記事を読むことで、誰でも簡単にできるいちじくの「緑枝挿し」の方法について知ることができます。通常の挿し木と異なる「緑枝挿し」は、いちじくの挿し木が好きな人にぜひおすすめしたい増やし方です。春に挿し木をやってみたけど失敗してしまったかたも、「緑枝挿し」が失敗しないようにとことん丁寧に解説していきます。ぜひ最後までご覧ください。

緑枝挿しのおすすめポイント(2つ)

  • 緑枝挿しは、春の「挿し木」より成功しやすい

春に挿し木した苗は、梅雨が前の時期までに根が十分に育たないと植え替えを実施したり、梅雨明け後に日中の気温が高かったりすると、ストレスがかかることで枯れてしまうことがあります。それに対して「緑枝挿し」は、筆者の経験上、発根がしやすく、夏の日差しが和らぐ秋口までは半日蔭で管理をするため、比較的枯れにくい印象です。

緑枝挿し直後の様子
7月に緑枝挿した直後の様子
緑枝挿し 成功
8月初旬の様子。発根し、新しい葉が展葉した

 

 

  • 今年伸びた不要な長い枝や「ひこばえ」を使用できる

使用する枝は今年伸びた緑色の枝です。そこで、おすすめなのが「芽かき」を忘れて芽から枝になってしまった「緑枝」や、樹の根元から生えている「ひこばえ」です。これらは栄養が分散するのを防ぐため、また、葉が過剰になり風通しが悪くなるのを防ぐため、間引く必要があります。この取り除いた緑枝は「15cm上、かつ、2節以上」あれば挿し木をして増やすことができます。特に「ひこばえ」は活着しやすく、おすすめです。

緑枝
今年伸びた緑色の枝を使用する

緑枝を使用する場合は、今年伸びた枝のうち、やや茶色になりかけているものや茶色に変化したもののほうが活着がいいように思います。

デメリット

時期が6月以降となるため、生育が遅くなりがちです。

おすすめな品種

緑枝挿しした1年目の苗は生育が遅く、樹が太りずらい特徴があります。そのため、個人的な見解ですが、樹勢の強い品種がおすすめです。

成功率をあげるために抑えるべきポイント(4つ)

  • 時期(6月~8月頃)

  • 穂木のサイズ(長さ15cm以上、太いほうがいいが細くても可能)

  • 保管(風通しの良い、日の当たらない明るい場所)

  • 潅水(乾燥は1日まで)

挿し木の時期

春に発芽し、伸びた緑の枝を使用します。ある程度の長さが必要になるため、地域にもよりますが6~8月の時期となります。「緑枝挿し」を行う時期が遅いと今シーズンでの成長があまり期待できないため、8月までが良いかと思います。

穂木のサイズ

長さは15㎝以上にし、太さは太いほどいいです。長さ10cm、直径8mmほどの細い枝でも無事に発根できたため、それよりも長く太ければ問題なく発根します。

10cmでも可
小さな穂木でも活着した

【穂木の調整手順】

  • ひこばえ

①「ひこばえ」は可能な限り根本からカットし、長すぎない限り、そのままの長さで使用します。②先端の芽と葉を残し、他の葉は取り除きます。③すぐに水をはった容器に入れます。④水あげを数日間行い、発根の元となる部分ができるのを待ちます。

  • 緑枝

①まず、枝を15cm以上でカットします。頂芽(先端部分の芽)を使用することもできます。

緑枝15
不要な緑枝を15cm以上残し、カットします。

②使用する芽の横の葉を残し、他の葉を取り除きます。残す葉が大きい場合は半分にカットします。

③すぐに水をはった容器に入れます。

すぐにみずさし
乾燥防止のため、植え付けるまで水に浸けておく

④数日間、水差しを行い、根の元となる部分が出来上がるのを待ちます。

根の元
数日間水差しをすることで、白い根の元ができてくる。

②使用する芽の横の葉を残し、他の葉を取り除く理由

栄養を分散させず、発芽や発根を促すためです。一般的に「緑枝挿し」は葉の一部残すようですが、全ての葉を取り除いた状態で挿しても成功することを筆者は確認しています。

③穂木を調整後、すぐに水に浸ける理由

緑枝の乾燥し枯れてしまうことを防ぐためです。複数の「緑枝挿し」する場合は、乾燥防止のため、水に浸けましょう。

挿し木の手順

穂木の準備ができたら挿し木を行います。

土は保水性の高い、水コケが主となる細かい土を使用します。ココピートなどがおすすめで、筆者は量も価格も手軽なため、ダイソーの「かるーい観葉植物の土」を使用しています。ココピートは酸性が強いため、有機石灰を適量混ぜます。

土はココピートなど、保水性の高い水コケ系がおすすめ。安いココピートは無調整であることが多い。酸性が強いため、有機石灰も加えること。

 

容器に土を入れたら、先ほどの穂木を挿すだけです。乾燥した土に挿すことで容易に挿すことができます。

 

すぐ植え付け
乾燥した土に挿すと簡単♪

 

底から水がでるまでたっぷりと水やりを行います。ココピートは吸水性が高く、水分を含むと膨らみます。

 

水あげ
挿したあとはたっぷりと水やりをする

保管の仕方

風通しの良い、直接、日の当たらない明るい場所に保管します(半日蔭)。時期的に室内では風通しが悪くなったり、エアコンで冷たい風があたったりしてしまうため、外での保管をおすすめします。梅雨があけると乾燥しやすいため、適度な潅水(水やり)を心掛けます。展葉まもない時期に直接日の光を充てると枯れたり、葉が弱ることがあります。夏の日差しが弱まる時期までは直射日光に当てないほうが無難です。

軒下などで保管
軒下など、風通しが良く日の当たらない場所で保管する

なお、「緑枝挿し」した苗は生育が遅くなりがちで、十分な栄養を蓄える前に冬を迎えます。冬は室内で育てることで休眠期(落葉期)に入らずそのまま育てることも可能です。

潅水(水やり)について

挿した直後は3日間、毎日乾燥しないように行います。その後は、鉢の土が乾燥したら適度に水やりを行います。適度な乾燥も織り交ぜることで根の成長を促すことができます。1日乾燥したままでも、案外問題なかったりします。この時期の「緑枝挿し」は気温も高く、地温も高くなりやすいため発根も比較的早いです。しかし、水を上げすぎてしまうと十分な根の成長が期待できず、根を乾燥させないように気を付けながら適度に水をあげていく必要があります。

その他、あれこれ

  • 植え替えの時期

十分に発根してから植え替えを行います。

  • 肥料

植替え前の土(水コケ)には栄養がないため、化成肥料を少量あたえます。時期としては根がある程度伸びてからが良いです。3cm以上の根が複数生えていれば問題はないかと思います。条件によりますが、緑挿し後2週間~1か月くらいが目安です。即効性のある化成肥料を何回かに分けて行うか、遅効性の化成肥料を与えます。なお、水コケは酸性なため、有機石灰も少量いれてPHを中性からアルカリ性へ調整することで、効率よく肥料を吸収させることができます。

筆者から最後に

普段捨ててしまいがちな間引き剪定した「緑枝」や「ひこばえ」ですが、上手に利用することでいちじくを増やすことができます。地温が高いからか、春に行う「挿し木」よりも「緑枝挿し」のほうが発根が容易なように思います。近年人気のいちじくですが、皆さんもベランダやお庭でいちじくの「緑枝挿し」に挑戦してみてはいかがでしょうか^^

ここまでご覧いただきありがとうございました♪素敵な農業ライフをお過ごしください♪

 

☆2022年5月追記☆

You tubeを始めました!ブログよりもさらに更新頻度は少なめですが、応援いただけますと嬉しいです♪よろしくお願いいたします。

緑枝挿し 成功
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